日銀の異次元緩和政策によって、低金利が続いていますが、それによって経営状態が苦しくなっているのが銀行です。
預金者から預かったお金を国債で運用しても、店舗や人件費を賄うことができなくなっているからです。
そのため、50以上の地銀では赤字になっており、株式市場に上場している銀行も、東証一部から今後整備される二部以下の市場へと降格するところが多数出てくると予想されます。
それに加えて、今後はキャッシュレスの流れが進んできますから、店舗の統廃合がどんどん進んでいきますので、銀行で働く人はかなり減っていくでしょう。
そうなると気になるのは、
「これから銀行に就職しても大丈夫か?」
「このまま銀行で働き続けても大丈夫なのか?」
ですよね。
この記事では、10年後の銀行がどうなっているのか?について、予想していきたいと思います。
1、キャッシュレスが進むことで、「決済」分野の人員削減が進む
昨年あたりから、PayPay、Line Payなどのスマホで簡単に決済できるサービスが、利用額の20%をキャッシュバックするなどの大規模なキャンペーンを行なっています。
今年10月から消費税が10%になることから、その対策としてキャッシュレス決済に対してポイント付与することが予定されています。
そのため、キャッシュレス決済サービスとして、Pay PayやLine Payだけでなく、メルカリやドコモなどもサービスを展開しています。
日本ではキャッシュレス決済があまり普及してこなかった理由は、クレジットカードで決済されると店舗側がクレジットカード会社に2〜3%の手数料を支払わなければいけなかったからです。
そのため、店舗でも導入するメリットが少なく、現金による決済比率が他の国に比べて高かったんですね。
ですが、来年にはオリンピックも控えていますし、政府の方でもキャッシュレスをどんどん進めていこうとしています。
キャッシュレスになれば、銀行にもメリット大
また、銀行側でもキャッシュレスのメリットは大きいです。
というのも、ATMの維持費だけで、年間2兆円以上ものコストがかかっているからです。
このコストが減るだけでも、かなり経営的に楽になりますので、キャッシュレスの流れはどんどん進んでいくでしょう。
店舗での申し込みが、インターネットに置き換わる
2017年以降で、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の大手3行が今後10年で約3万人の人員を削減するという発表を行いました。
その多くが、店舗の統廃合による削減です。
キャッシュレスだけでなく、口座開設やローンの申し込みなどもインターネットで申し込めるようになれば、店舗を利用する必要もなくなります。
RPAと呼ばれる事務作業の自動化技術が進んでいることで、店舗スタッフが行う仕事がどんどん自動化されていきます。
そのため、これまでの事務スタッフが不要になり、一般職の採用もどんどん減っていくことでしょう。
三菱UFJ銀行が仮想通貨を発行する理由
現在キャッシュレスにするための決済サービスを提供しているのは、Pay Pay(ヤフーグループ)やLine Pay(ライン株式会社)のようなIT企業であって、銀行ではありません。
これは他の国でも同様で、例えば中国でスマホ決済サービスを提供しているのは、アリババとテンセントという2大IT企業です。
なぜこれほど中国でキャッシュレスが進んでいるのかというと、決済・送金手数料がゼロだからです。
日本のネットバンキングでは、預かり資産が多かったり優良なお客さんでなければ、1回200円ぐらいは送金手数料を取られてしまいますが、そういったコストがゼロなのです。
なぜこんなことができるかというと、決済情報という個人情報を集めることで、他のサービスに活用できるからです。その対価として、決済手数料をゼロにしているんですね。
で、この決済分野をIT企業に取られてしまうと、ほとんどの銀行は個人に対する資産運用や相続などの助言と、法人向けの貸し出しだけになってしまい、ジリ貧になります。
そのため、預金量が莫大にあり、信頼感のある大手銀行が仮想通貨を発行することで、決済分野で存在感を高めていこうとしているのです。
なお、仮想通貨というと、相場が荒いギャンブルみたいなイメージを持たれるかもしれませんが、「MUFJコイン=約1円」というほぼ固定制で運用しますので、普及しやすいでしょう。
また、三菱UFJ銀行だけでなく、みずほやゆうちょ、三井住友銀行なども他の大手金融機関でも同じようなサービスの提供を予定しているようですので、この分野に詳しい人や興味のある人は、大手銀行への転職・就職は選択肢としても面白いでしょうね。
2、金融庁の方針変更で、顧客志向へと変わらせられる
金融庁は、不良債権問題が騒がれた1998年に発足しました。
その目的は、金融機関が企業に貸し出している資金の中で、「不良債権(倒産しそうな貸し出し先)」を洗い出して、金融機関に対する信用を取り戻すためです。
ですが、そうやって不良債権をあぶりだせば、該当する会社は貸し出しがストップして倒産してしまいます。
そこで、政府は「信用保証制度」を新しく作って、もしそういう会社が倒産しても、銀行が損をしない仕組みを整備しました。
しかし、この「信用保証制度」では、いわゆる「短コロ」が利用できず、長期融資しか利用できません。
「短コロ」とは、「毎月利息だけを返済して、元本部分の返済はしなくてもいい借り入れ方法」のことです。
仕組み的には悪名高い「リボ払い」と同じですが、適用される金利が圧倒的に低いので、運転資金として利用しやすい借り入れ方法だったんですね。
しかし、この「短コロ」も金融庁の審査対象になったことで、ほとんどの銀行が、信用保証制度を利用できる長期融資への切り替えを事業者に求めるようになりました。
銀行から見れば、不良債権と認定されるリスクが減りますし、信用保証制度が100%保証してくれるので、審査も簡単に済みますから、やらない理由がなかったわけです。
その結果、事業者は利息だけでなく、元本部分の返済も毎月しなければなくなりました。そのため、資金繰りが悪化して、中小企業ほど苦しい立場に追い込まれていったのです。
この頃から、お客さんのためにならない金融機関が増えていくことになります。
金融庁の方針は、「潰れない銀行」を作ることだった
また、この頃には銀行による投信や保険の窓販も始まりました。
銀行には多くの預金者の情報がありますので、誰がお金持ちか一目でわかります。
また、預金者から見れば、「銀行=安心」という信頼感もありますので、手数料が3〜7%も取られて元本保証でもない投信や保険を売りつけてくるとは夢にも思わないでしょう。
2000年前半は、ネット証券大手の松井証券が上場するなど、対面の証券会社のリストラが進んでいた時期でもあります。そういう証券会社の営業員が銀行に転職をして、投信や保険の販売をバンバン始めたのです。
その結果、銀行は手数料収入で儲かる反面、預金者のお金がどんどん手数料でむしり取られていくことになりました。
ですが、金融庁は「潰れない銀行」を作ることが第1優先だったので、とにかく利益を上げて、不良債権を減らしてくれれば、あまり文句を言うこともありませんでした。
つまり、金融庁が発足して約20年になりますが、
- 事業者の事業内容を見ず、担保の有無と、過去の業績だけでお金を貸す体質
- 預金者を「お金のなる木」としか見ず、手数料目的だけで金融商品を販売する体質
へと変わってしまったのです。
森前金融長官から、方針が顧客志向へと転換
ですが、森信親 前金融長官から、金融庁の方針が変わってきます。
- 事業者の事業がもっと成長できるようにアドバイスをしたり、資金の支援をすべきだ
- 投資家の資産が増えるような商品を提案すべきだ
という方向へと変えようとしているのです。
これは、これまでの銀行のあり方と真逆です。
これまでは「潰れない銀行になること→金融不安が起こらないことで、社会が安定する」という価値観だったので、事業者や預金者に迷惑がかかっても、社会全体で見ればOK、というところがありました。
ですが、金融システムが安定した後は、「銀行のお客さんである事業者や預金者に迷惑をかけてでも、利益を上げる銀行なんて存在価値があるの?」と考え方が変わってきたのです。
これはとても自然な方向性だと思いますが、実際にそんなことができるのか?というと、かなりハードルが高いとも思います。
そのため、おそらく、以下の2点は確実に起こるでしょう。
(1)銀行の統廃合がさらに進む
現在でもすでに地銀を中心に銀行の統廃合がいくつか予定されていますが、その統廃合がさらに進むはずです。
というのも、現在の低金利下で、銀行の収益環境はかなり厳しくなっているからです。
2013年から日銀が異次元緩和政策を始め、長期金利すら0.1%台にまで下がっています。
これまでは、預金者からお金を集めて、それを1%ぐらいの金利がつく10年国債で運用することで、利益を上げていましたが、それができなくなったため、赤字の銀行が増えているのです。
銀行はいまだに紙の文化で、多くの支店スタッフ・本部スタッフがいますから、人件費が経営を圧迫しています。
このような利益を生まない間接部門の人員は、今後は人員削減の対象にならざるを得ないでしょう。
(2)法人取引と資産運用担当が生き残る
今後はキャッシュレスがどんどん進むため、支店は減っていきますし、間接部門の人員の削減が進みます。
そうなると、銀行に残される機能は、
- 事業者向け:貸し出しや、事業拡大のアドバイス
- 個人向け(シニア層):資産運用、相続などの相談
- 個人向け(ファミリー層):住宅ローン、保険などの相談
の大きくは3つに集約されていくのではないでしょうか。
ただし、個人向け(ファミリー層)へのサービスは、ネット銀行やネット保険などの競合も多いので、事業者向けとシニア層向けの高度な専門性が必要になる分野が残ることになるでしょう。
ですが、特に多くの地銀では、事業者との関係性が希薄化してしまっていますので、むしろ地域に密着した信金や信組の方が生き残る可能性が高いかもしれません。
結論
以上のことから、これから10年後の銀行の姿は、以下のようになると予想します。
- キャッシュレスが進むことで、ATMや店舗が減り、空中店舗の営業事務所のようなスタイルへと変わる
- 事務スタッフのほとんどが営業担当やコールセンターなどの顧客対応業務へと移される
- 仕組みを維持するスタッフの多くが、仮想通貨や電子通貨の維持・管理に従事するため、エンジニアの雇用が増加する
- 地方の金融機関では、事業者と二人三脚で事業を拡大し、貸し出しを増やせる地域密着型の金融機関が生き残り、転勤が多く顧客目線に立てない地銀の多くが統合させられる
現在金融機関で働いている人でも、この予想には納得しやすいのではないでしょうか?
また、全体としての雇用はかなり減るはずです。おそらく、半分以下になってしまいそうですね。
【就活】3年生の12月時点で、準備できることは?
2022年卒生への大企業の採用スケジュールは、
- 3月1日採用情報の解禁
- 6月1日選考開始
と今年と変わらない予定です。
そのため、12月の現時点で準備できることといえば、
- インターンシップへの参加
- OB・OG訪問
- 業界研究・企業研究での絞り込み
- エントリーシートの作成
あたりでしょう。そこで、注意すべき点についてまとめました。
(1)インターンシップについて
インターンシップは、企業によって夏にやっていたり、秋冬にやったりとマチマチです。
また、企業のHPで募集しているところもあれば、マイナビやリクナビで登録するところもあるので、どちらもチェックしておきましょう。
(2)OB・OG訪問について
ここ数年、「OB・OGの立場を利用して、就活生にセクハラをする」という事件を頻繁に目にするようになりました。
このような不祥事が起こると、例え一流企業であっても、企業イメージがかなり悪くなるため、かなり気を遣うようになっています。
そのため、「OB・OG訪問をしなければ、内定がもらえない」という会社は、ほとんどありません。
(気になる方は、「みん就」で内定者のコメントを見てみれば、OB・OG訪問なしで内定をもらっている人がかなりの割合でいることを確認できます。)
もちろん、その会社の雰囲気や仕事内容などのアドバイスは参考になりますし、社会人の方と話をすること自体が、1つの経験となりますから、決して無駄にはなりませんが、絶対にやらなければいけないというものではありません。
ちなみに、OB・OG訪問は、「大学の就職支援センター」で予約できますので、そちらでチェックしてみてください。
(3)業界研究・企業研究
この記事では、企業のHPや決算発表資料、就職四季報などから情報を整理していますが、職場の雰囲気や企業カルチャーは、実際に働いたことのない人でなければ分かりません。
入社すれば長く働く場所になるわけですから、事前にその辺りの情報もチェックしておくべきでしょう。
【PR】転職会議
こちらの転職会議を使えば、勤務経験者の口コミをチェックできるので、気になる会社の職場の雰囲気や、残業代、有給休暇が取れるかなどの実態を調べることができます。
無料で使えますので、チェックしておいて損はないでしょう。
(4)エントリーシートの作成
エントリーシートを作成するにあたり、押さえておきたいのは、
- 学生時代に頑張ったことは何か?(いわゆる「ガクチカ」ですね)
- 志望動機(なぜ、当社を志望するのか?)
の2点です。
特に厄介なのが、志望動機です。
志望動機は、例えば楽天が運営している「みん就」を利用すれば、企業ごとに内定をもらった人の志望動機をチェックすることができます。
ソニーの志望動機は、みん就に1,000件以上投稿されている
と言うことは、逆を言えば、それを見れば、全員がそれっぽいことを書けるわけです。
しかし、採用側では、そんな中から優秀な人材を探して採用しなければなりません。ではどうするのか?
当然ですが、その志望動機について、「なぜ、そう思ったのですか?」「それは、当社である必要があるのですか?」と深く突っ込んで質問をしてくるわけです。
昔のわたしは、ここでつまづいて、たくさん落とされました。最終的には、気合と根性の証券会社に落ち着いたわけですが(笑)
そのため、志望動機の根拠をきちんと説明できるレベルまで、「自己分析」が十分にできていないと、面接の時に採用担当を納得させられないのです。
なぜなら、「自分がどんなことにやる気を出せる人間なのか?」と「その企業のやっているビジネスのどんな点に、やる気を感じるのか?」がきちんと結びついていないと、採用側が「こいつなら当社で頑張ってくれるだろう」と思ってくれないからです。
自己分析をするならコレが鉄板
30年近く運営されている就活塾に「我究館」があります。
これまで9,200人以上の就活生を商社や保険、マスコミ、国家公務員などの、いわゆる一流企業の内定へと導いてきた実績のある就活塾です。
この「我究館」で得られた経験を書籍にしたものが、就活生のバイブルとなっている「絶対内定2022」です。
この本は500ページ以上のボリュームなのですが、就活についてのノウハウ本の域ではなく、徹底的に自己分析を掘り下げられるような内容になっています。
具体的には、
- 自分の夢とは何なのか?
- 「働くこと」とは何か?
- 「就職する」とは、どういうことなのか?
- 本気で就職活動に取り組むとはどういうことなのか?
- できる人とはどんな人か?
- 会社でやりたいことは本当にできるのか?
このような、面接官から質問されたらドキッとするようなことを徹底的に深掘りして、具体的な行動にまで落とし込めるように書かれているのです。
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