この記事では、アマゾンの成長によって、日本の仕事がどう変わっていくのかを解説していきます。
アマゾンというと、楽天と同じような「ネット上のショッピングモール」として認識している人も多いでしょう。
ですが、海外ではすでに「アマゾンエフェクト」という言葉で表されるように、アマゾンが競合するようになって、倒産や店舗の閉鎖をしている企業もたくさんあります。
例えば、アメリカだけでも、
- 百貨店大手のシアーズ(2018年10月)
- 玩具販売大手のトイザらス(2018年3月)
が倒産していますし、
- 衣料品大手のGAPが200店舗を閉鎖(2017年9月発表)
- 2018年だけで、約3,800の小売店舗が閉鎖
に追い込まれています。
日本でも百貨店の売り上げがどんどん減っていってて、地方の百貨店は軒並み潰れていますから、同じようなことが起こっているとも言えます。
しかし、実はこれだけではないのです。
これから5年〜10年という未来を見ていくと、アマゾンと競合することで、他の分野の大企業も倒産や撤退、または大規模な縮小へと追い込まれていく可能性が高い。
具体的には、これらの業界が、今後大きく影響を受けます。
業界 | 主な企業 |
コンビニ業界 | セブンイレブン、ローソン |
通販業界 | ヤフー、楽天 |
運輸業界 | ヤマト運輸 |
ファッション業界 | ZOZO、ユニクロ |
銀行業界 | 地銀 |
テレビ業界 | 日本テレビ、フジテレビ |
当然ですが、今このような業界で働いている人は、会社が縮小してリストラされる可能性も上がりますし、これから就職しようと思っている人は、思っている以上に厳しい競争が待っているでしょう。
そこで、この記事では、
- アマゾンの何がヤバイのか?
- 各業界がこれからアマゾンによって、どのような影響を受けるのか?
の2点を中心に解説していきたいと思います。
1、アマゾンという会社の何がヤバイのか?
アマゾンは、1994年に本を専門としたネット通販の会社としてスタートしました。
それが2018年現在では、全世界での売上高が約18兆円、株式時価総額では9,485億ドル(2019年4月末現在)でマイクロソフトに次いで2番目に大きな会社となっています。
1997年に上場しましたが、2.4ドルから1871ドルまで上昇していますので、この20年間で株価は約780倍にまで膨らみました。
昨年の億万長者番付では、アマゾンの経営者であるジェフ・ベソス氏が世界1位とのことですので、いかにこの会社が強烈に成長してきたのかがわかりますね。
そんなアマゾンの何がヤバイのか?
詳しく解説していきます。
(1)業績がずーっと元気だから、安値競争をすれば必ず勝てる
2018年のアマゾンの売上高は、約24兆円と昨年よりも30%増加していました。
売上高が10兆円規模の会社なのに、売り上げが毎年20〜30%というハイペースで増加し続けているのです。
なぜこれほど売上が伸びているのかというと、稼いだお金をそのまま倉庫・トレーラーなどの物流や研究開発費などの設備投資に使っているからです。
そのため、2015年ぐらいまではほとんど純利益が増えませんでしたし、ずっと株主への配当をしていません。
普通の大企業ならば、これほど大きくなってくると、売り上げも伸びにくくなって、配当を出し始めてくるものです。株主から「配当を出せ!」とプレッシャーもかかってきますからね。
そのため、アップルもスティーブ・ジョブズが亡くなってからは、iphoneのような大ヒット商品が出なくなって、配当を開始しています。
ですが、株主に配当をするということは、それだけ純利益を上げなければいけません。そうすると、設備投資に使えるお金が減ります。
という関係だからです。
ということは、売り上げを伸ばすための設備投資を犠牲にするわけですから、売り上げが伸びず成長も止まってしまいます。
例えば、日本でも2000年前後の金融危機で、銀行が持ち合い株式の解消を進めたために外資系の株主が増えました。
それまでは日本の企業も配当はあまり出しておらず、その分を研究開発費や人件費に回していたんですが、外国人が株主になってからはそうも言ってられず、配当金を増やすようになりました。
そのため、売り上げが伸び悩んでしまい、ソニーや東芝、シャープなどの大手電機メーカーでも世界的な競争に勝てなくなってしまったのです。
それに対して、アマゾンでは、
- 配当を出さずにM&Aで会社を買収したり
- 物流拠点を世界中に作ったり
- AIなどの研究開発を行ったり
などなど、稼いだお金の大半を売り上げを伸ばすために使い続けているんです。
つまり、稼ぎをそのまま売り上げを伸ばすための資金に使えるため、「他社を安値競争で追い込んでぶっ倒す」と言ったことが簡単にできる会社なのです。
実際、アメリカのオンライン靴販売サービスのザッポスや、ベビー用品小売のダイアパーズ・ドットコムなどは、この手で競争に巻き込まれてしまい、最終的に買収されてしまいました。
(2)あらゆるものを自社で用意・事業展開することで、専業のサービスを圧迫
アマゾンのビジネスは、WEBショッピングだけでなく、その周辺の分野にも広げています。
例えば、HPを開設するためには、サーバーという設備を借りなければいけません。また、通販事業であれば、注文を受けたらその商品を配送しなければいけません。
こういったことをアマゾンは全て自前で用意して、しかもそれを利用者に開放しているのです。
具体的には、このように整理できます。
アマゾンが提供しているサービス・設備 | 利用者のメリット | 利用者への開放 |
サーバー(AWS) | 安価にサーバーを契約できる | ◯ |
配送サービス | プライム会員なら配送料が無料、即日配達も可能 | ◯ |
会員サービス(アマゾンプライム) | 無料配送、動画見放題、音楽聴き放題、キンドル読み放題など | ◯ |
マーケットプレイス | 事業者がアマゾンのサイト内で商品を出品できる。 | ◯ |
FBA | 出品者の商品の保管・注文処理・決済・配送・返品対応などを一手に引き受けてくれる。他のサイトで受けた注文の処理も可能。 | ◯ |
広告 | アマゾンサイト内で広告を出せる | ◯ |
キンドル | 個人でも電子書籍で出版ができる | ◯ |
海底ケーブル(予定) | 自前の通信網を持つことで、大量のデータを処理できる。通信会社の通信トラブルの影響を受けない | ー |
風力発電所(米国) | データセンターの電力を自前でまかなえる。電力会社の電力トラブルの影響を受けない | ー |
アマゾンがこれほど多くの設備・サービスを自前で作っている理由は、そうした方がコストを減らすことができるからです。事業規模が桁違いに大きいので、大量発注で安く仕入れることができるのです。
そのため、
- 自前で通信ケーブルを敷けば、通信会社に払う通信料よりも安く使えます
- 自前で風力発電所を作れば、電力会社に払う電気料金よりも安く使えます
- 自前で物流施設を作れば、配送会社に払う配送量よりも安く使えます
- 自前でデータ処理センターを作れば、通信サービス会社に払うよりも安く使えます
このような発想で自前で作り、コストを削減してきたのです。
アマゾンの凄いところはここからで、その設備をさらに拡大することで、他の企業や事業者にも利用してもらうことで、事業を増やしているのです。
その最たる例がアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)です。
もともとは自社で使うためのデータセンターでしたが、さらに設備を拡大することで、他社にも安価にサービスを提供するようになりました。
なんとこれまでに60回以上も値下げをしており、他社ではマイクロソフトぐらいの会社でなければ、太刀打ちできない状況となっています。
これほど値下げをしているのにも関わらず、AWSはアマゾンのドル箱で、売り上げは全体の約1割ぐらいですが、昨年2018年だけで72億ドル以上(約8,000億円)の利益を稼ぎ出しています。
そして、ここで稼いだ利益をもとにさらに設備投資を行い、商品の値下げを行うことで、他の業態でも他社が太刀打ちできない状況になっているのです。
このまま規模をどんどん拡大していけば、電力会社や通信業者、物流業者などの専業の商売は、アマゾンの大規模な設備と、他事業で稼げる収益構造の強みによって、安値競争に巻き込まれ、淘汰されるところも出てくるでしょう。
(3)AIやテクノロジーへの投資によって、古くからの商売をぶち壊していく
アマゾンの特徴といえば、「この商品を買った人は、こんな商品も買っています」のリコメンド機能を思い浮かべる人も多いでしょう。
このリコメンド機能は、アマゾンに蓄積された膨大なデータをアルゴリズムが処理することで、提供がされています。
最初に実装されたのが1998年なので、すでに20年以上も前になります。アマゾンはテクノロジー企業でもあるのです。
そんなアマゾンですが、ネットだけでなくリアルの店舗サービスにも展開を始めています。
具体的には、「アマゾン・ゴー」というサービスで、なんとお店に入ってモノを持って、そのまま出るだけで自動的に決済できるというもの。
店内には無数の小型カメラを設置することで、
- 誰がどの商品を持っているか
- どの商品を棚に戻したか
が判別できるです。
日本でもコンビニの無理な24時間営業、人手不足は、社会問題として取り上げられるようになっていますし、コンビニの商品ってスーパーなどに比べるとかなり高いですよね。
アマゾンがこの分野で日本に進出することになれば、人員が少なくて済んで、しかも値段も安いコンビニのサービスを展開することができます。
それ以外にも、音声認識ソフト「アレクサ」が実装されている「アマゾン・エコー」というスマートスピーカーを使えば、喋りかけるだけでニュースを読み上げてくれたり、アマゾンに注文をしてくれることも可能です。
例えば、歯ブラシやトイレットペーパー、水などの習慣的に買う商品については、毎回銘柄を選んで買ったりしませんよね。
そういう日用品の購入は、「アレクサ、トイレットペーパーを注文しといて」と話しかければ、それで注文が完了します。
切らせて生活が不便になるぐらいなら、気付いた時に注文できた方が便利な商品はいくらでもありますので、アマゾン・エコーが普及してくれば、スーパーやコンビニの売り上げ構成もかなり変わってくるでしょう。
2、アマゾンによって影響を受ける業界は?
ここからは、アマゾンの進出によって、これから大きく影響受ける業界について、具体的に解説・予想していきます。
(1)コンビニ業界
1番影響を受けるのは、コンビニなどの小売業界でしょう。
少子高齢化によって人手不足が社会問題となっている中で、地域の最低賃金で雇われることが多い、これらの業種では今後はもっと人手が足りなくなってくるはずです。
「アマゾン・ゴー」が日本でも展開されてくれば、決済する人手が必要なくなるので、人件費も少なくて済みます。
また、アマゾン自体があらゆる商品を大量に仕入れてネットで販売していますので、今あるコンビニのような定価販売ではなく、ネットで買える最安値で手に入れることができるようになります。
また、アマゾンのアプリをダウンロードしている必要があるため、万引きも100%防げます(店外に持ち出せば、決済されてしまうので)。
それ以外にも、通販で注文した商品の受け取りや、試着・返品がその場でできるようになるでしょう。
アマゾンでは洋服を買う時も、複数のサイズを取り寄せて、合わないサイズのものを返品しても無料なので、このサービスがもっと使いやすくなるはずです。
現在の国内のコンビニ各社では、フランチャイズ店舗に
- 本部が決めた売れ筋だけど割高な商品を仕入れさせている
- 廃棄、万引きによる損は、FC店舗が負担
- 24時間営業を契約で強制
- 儲かりそうなエリアがあれば、近くに競合する同社の店舗があっても平気で出店をする
など、かなり店舗側に大きな負担をかけて、高収益を維持していますが、逆を言えば、店舗の収益環境はかなり厳しいと言えます。
昨年セブンイレブンが、人手も集まらず24時間営業が続けられないオーナーに違約金1,700万円を請求したことで「やりすぎだろう」と社会問題となりましたが、それほどにコンビニ店舗の経営状況はかなり厳しいわけです。
もちろん、コンビニ各社でもキャッシュレス対応などで人手不足の解消を進めようとしていますが、そもそも「FC店舗に負荷をかけて高収益を上げる」という仕組み自体に無理があります。
そのため、アマゾン・ゴーが参入してくれば、今あるコンビニの店舗網の多くは潰れてしまうのではないでしょうか。
特にこれからFC店舗で独立しようと思っている人は、コンビニはやめた方がいいでしょう。
(2)楽天などのEコマース
楽天全体の売上高は、2018年は1.1兆円を越え、前年比+16.6%とアマゾンに比べると低いものの、国内の大企業としては驚異的な成長率を示しています。
それに加えて、楽天では証券・銀行・保険・携帯電話・キャッシュレス事業など、他の分野に裾野を広げており、その相乗効果で売上が伸びているんですね。
アマゾンは日本ではこれほど多角的に事業を行なっていませんし、特に金融分野は規制が厳しいので、楽天の優位な状況が続くことは間違いないでしょう。
ただし、アマゾンにはアマゾンの強みがあり、この点で楽天や他のEコマース事業者に大きく影響を与えてきます。
その分野が、日用品などの低価格分野の商品です。
楽天の通販事業は、基本的にはインターネット上のショッピングモールのような役割であり、例えばイオンモールで言うところの自前の食料品や衣料品、家電販売のような直営店舗がありません。
それに対して、アマゾンでは自社で大量に仕入れて、自ら販売を行なっています。
この違いを整理すると、このようになります。
楽天 | アマゾン | |
どうやって儲けているか? | 出店企業からの場所代 | 自社での販売+出店企業からのサービス料 |
最優先のお客さん | 出店企業 | 購入者 |
物流・倉庫への投資 | 購入者への利便性提供のため、優先順位が低い | 優先順位が高い |
物流への投資によって、どんな差が出ているか? | 他店との一括配送ができないので、送料が高い | 買った商品がまとめて送られてくるので、送料が安い |
このようにビジネスモデルが違うため、特に安い日用品を通販で買おうと思うと、アマゾンに軍配が上がってしまうのです。
これは楽天に限ったことではなく、価格コムなどの他のECサービス企業でも同じようなことが起こっており、日用品の取り扱い額が減少しています。
しかも、アマゾンでは音声認識AIロボットである「アレクサ」を内蔵した「アマゾン・エコー」というスマートスピーカーを展開しています。
リビングに置いて「アレクサ、トイレットペーパー注文しておいて」と話しかけるだけで、購入手続きができるのです。
それだけではなく、天気予報や株価、ニュースなどのちょっとした調べものも検索せずに話しかけるだけでわかりますし、アレクサを活用したサービス(スキルと呼ばれます)が、スマホのアプリのように他の企業も参加して開発が進められています。
アレクサ スキルランキング(2018年間)
順位 | スキル名 | 内容 |
1位 | radiko.jp | ラジオ局の放送が聞ける |
2位 | ピカチュウトーク | ピカチュウとおしゃべりができる |
3位 | じゃんけん | じゃんけんで遊べる |
4位 | LinkJapan eHome | 家電等のコントロールが可能 |
5位 | スマート家電コントローラ | 家電等のコントロールが可能 |
6位 | 豆しば | 毎日1つ豆知識を教えてくれる |
7位 | 駅しりとり | 全国にある鉄道駅を使ってしりとりができる |
8位 | Yahoo!天気・災害 | 天気、災害のニュース |
9位 | カラオケJOYSOUND | JOYSOUNDで配信中の人気楽曲をカラオケとして配信 |
10位 | スマートフォンを探す | 自分のスマホを鳴らしてくれる |
ランキングや口コミを見ると、便利なだけでなく、暇つぶしの相手としても好評のようです。
このように日常生活に溶け込んでくると、日用品の注文はネットでやるよりアレクサに頼むことを「習慣」とする人はかなり増えるはずです。
このように、アマゾンは利用者の「習慣」の中に入り込むことで、購入機会を増やしていこうとしていきますので、特に何も考えずに購入できる日用品では、今後一層アマゾンのシェアが増えていくでしょう。
そのため、楽天や価格コムなどのECサービスでは、通販事業だけでなく、それ以外の金融・広告・メディア運営などの業態に広げていくことで、活路を見出そうとしています。
このような方向で生き残れる企業とそうでない企業に分かれていくでしょう。
(3)運輸業界
アマゾンなどの通販サービスが拡大していく一方のため、アマゾンと独占契約をしていたヤマト運輸が値上げを表明し、最終的にアマゾンはヤマト運輸との契約を解消しました。
アマゾンは現在、中小の運送業者や、個人事業主を取りまとめて、配送網を構築しようとしていますが、それと同時並行で、「ドローン」による戸別宅配の技術開発も行なっています。
ドローンによる戸別宅配では、他の国でも技術の進展に応じて、規制を徐々に緩めていく流れにありますので、あと5〜10年もすれば日本国内でも実用化される可能性が高いでしょう。
現在でもすでにドローンによる宅配コストは、1回あたり数円〜数十円程度と、人力による宅配よりもかなり安くなっているそうです。
となると、今後の技術の進展によって、より気軽に通販を利用しやすくなりますし、「注文後30分以内に届く」といった社会が実現しそうです。
しかし、ドローンを自動化で戸別に宅配するためには、かなりの技術力が必要となりますので、現在の倉庫があって、トラックがあって、といった運送会社では太刀打ちができません。
そのため、今後の運送会社の仕事は、中長距離輸送が主な仕事となり、戸別訪問による宅配事業は重たい荷物以外では減少していくと予想されます。
(4)ファッション業界
アマゾンはファッションにも力を入れています。
年会費4,900円のアマゾンプライムに入会すれば、「プライム・ワードローブ」というサービスを利用することができます。
このサービスは、2〜6点の洋服や靴を取り寄せて試着し、サイズが合わなかったり、イメージと違った場合には7日以内に返送すればお金がかからないというサービスで、もちろん返送料も無料です。
一方で、ユニクロやゾゾタウンでも返品はできますが、返送費用はお客さんの負担になります。
つまり、「通販でも試着して納得した上で買いたい」というニーズを満たすことができないんですね。
もちろん、その分アマゾンでは年会費が4,900円かかるわけですが、プライム会員ならば、
- 映画やアニメ、テレビドラマも無料で観れる
- 音楽も100万曲以上聴き放題
- 電子書籍でも数百冊の漫画や本が読み放題
- 無制限で写真を保存できる
- 雑誌も読み放題
など、かなり使い勝手のいいサービスが盛りだくさんの内容です。
わたしもプライム会員になっていますが、「配送料が無料だから」という理由で年会費を払っている意識はなくて、「アニメや映画が見放題だし、レンタル料金よりも安い」という意識で入会しています。
こういう人は案外多いと思います。
アマゾンの強みは、このプライム会員向けのサービスの充実です。
今後も特典を増やしていくでしょうから、会員数は増えることはあっても、減ることはないでしょう。そうなってくると、「通販でも試着した上で購入する」のが当たり前になってきます。
そうなると、返送料の負担をユニクロやZOZOもせざるを得なくなる可能性がありますね。
(5)テレビ業界
Youtubeが普及したことで、小・中学生を中心に、テレビを見ない人が増えているそうです。
テレビ業界は、企業のCM広告で経営が成り立っていますので、視聴者が減ってくれば、広告出稿も減ります。
しかも、ネット広告が普及したことで、「この広告をこの媒体に出せば、これだけ反応がある」という効果測定ができるようになりました。
そのため、テレビ広告からインターネット広告へとシフトする企業が増えています。この流れは今後も変わらないでしょう。
その一方で、シニア層は見るだろうと予想されています。しかも、少子高齢化で今後はもっと高齢者が増えていきますから、シニア向けの番組を作ることで生き残りを図ると言われています。
ですが、ここに立ちふさがるのが、おそらく「アマゾン・エコー」です。
というのも、今後さらに高齢化していくとなれば、日用品や食料品の通販の比率ももっと増えることが予想されるからです。
そうなってくると、話しかけるだけで注文ができるアマゾン・エコーは1度使ったら手放せなくなるでしょう。
そして、さらにアマゾン・エコーでは、テレビとつなぐことで、テレビ番組はもちろんのこと、アマゾン・プライムで見られる映画、テレビ番組の視聴も可能になります。
「アレクサ、なんか面白い番組を探して」
と話しかければ、過去の視聴履歴から興味のありそうな動画を選んでくれるようになるでしょう。
しかも、2020年には第5世代通信規格(5G)の導入が進みますので、テレビでネットを見ると画面が粗くて見にくく感じることもありますが、そういった見にくさも徐々に解消されていきます。
そうなると、テレビ局の番組とYoutubeやアマゾン・プライムの番組は、全て同じ条件で比較されます。つまり、テレビ番組の優位性は、今後さらに下がっていくのです。
ソニーのTVでも、ネット動画を簡単に見られる仕様になっている
そうなると、さらにスポンサーの広告費は下がっていきますから、番組制作の予算もさらに絞られていくでしょう。テレビ業界は今後厳しくなっていきそうですね。
(6)銀行業界
現在の銀行は、個人や零細事業者への貸出をほとんどできていません。
不良債権問題で金融庁が貸出先の審査を厳しくしてきたため、不動産などの担保をとった上でしかほとんど貸し出せていないのです。
それが証拠に、2013年から日銀が異次元緩和と称して、国債を買い占めることで「国債で運用して稼ぐ」という手段を銀行から取り上げて以降、貸出先として増えた業種は、ほぼ8割が不動産関係でした。
つまり、事業性を判断して貸すことはほとんどせず、担保の有無だけでお金を貸し出してきたのです。
そのため、地域の経済を担う事業者がお金を借りられず、どんどん地方経済が疲弊してきました。
一方、アマゾンでは、アマゾンに出店している事業者の売り上げデータを確認できますので、簡単な審査でお金を借りることができます。
金利は6%〜17%とかなり高めですが、商品がヒットした時に大量に仕入れたい時などに使えますし、いつでも返済でき、手数料も無料なのでとても使い勝手がいいです。
また、今後はキャッシュレスが進んでいくため、支店の統廃合も進んでいきます。
担保を取らずにお金を貸すこともできませんので、今後も売り上げは増えず、ジリ貧経営の銀行が増えるでしょう。
結論
というわけで、かなり長くなってしまいましたが、いかにアマゾンがこれからの日本のあらゆる牛種に影響を与えていくか、なんとなくイメージできたと思います。
あらゆるモノがインターネットと繋がり、制御することができるようになることで、ドローンやアマゾン・エコーのような画期的な技術が生活の中に入り込んできます。
- お店に行かなければモノが買えない時代は終わりました
- 通販でも無料で試着できる時代がやってきました
- 話しかけるだけで注文ができる時代がやってきました
- 空を飛ぶ機械が、物を運んでくれる時代がやってきます
今後はこのような技術によって、生活の仕方もどんどん便利になることで、今までの「当たり前」がどんどん変わってきて、古い業界が駆逐されたり、新しい技術を活用することで生き残る企業も出てくるでしょう。
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