(本ページはプロモーションが含まれています。該当するサービスには、【PR】と表記しております)
この記事では、ゼネコン(総合工事業)について、
- 過去3年間の平均年収(年齢別)の推移
- 職種別の平均年収
- 増加・減少している理由
の3点を中心に解説していきます。
1、ゼネコンの平均年収(年齢別)の推移
厚生労働省では、年齢別、職種別の給与や労働時間などについて、「賃金構造基本統計調査」というアンケート調査を毎年行っています。
この記事では、このデータを参考に年収を計算し、令和元年〜3年の3年間の推移をグラフにしてみました。
従業員1,000人以上の企業とは?
企業規模によって、平均年収にも大きな開きがあります。
そのため、この記事では、①大企業(従業員1,000人以上)、②中企業(100〜999人)、③小企業(10〜99人)に分けて年収の推移を調べました。
なお、企業規模1,000人以上のゼネコンというと、だいたい中堅ゼネコンと言われる企業までが対象となっています。
具体的には、大豊建設(1,049人)、ピーエス三菱(1,105人)、飛島建設(1,180人)ぐらいの規模ですね。
業界に詳しくないと、あまりピンとこないかもしれませんが、これらの企業は株式市場にも上場している老舗のゼネコンです。
このぐらいの企業をこの記事では「大企業」として、年収データをまとめています。
また、ゼネコンというと大企業のイメージがあるかもしれませんが、令和3年の調査の対象者数を調べてみたところ、
対象者数 | |
従業員10人以上(合計) | 約9.2万人 |
従業員数10〜99人(小企業) | 約5.8万人 |
従業員数100〜999人(中企業) | 約1.5万人 |
従業員1,000人以上(大企業) | 約1.9万人 |
となっており、ゼネコン(総合工事業)に分類される企業は、中小企業でも、かなり多くあるようです。
では、年齢別に年収を見ていきましょう。
20〜24歳:大企業で大きく減少
(単位:万円)
①令和2年 | ②令和3年 | 前年比 | |
大企業(1,000人以上) | 439 | 359 | -80 |
中企業(100〜999人) | 334 | 368 | +34 |
小企業(10〜99人) | 311 | 311 | 0 |
(参考:厚生労働省 「賃金構造基本統計調査」)
令和2年までは、従業員1,000人以上の大企業の年収は400万円を超えていましたが、昨年は大きく減少し、中小企業とそれほど変わらない水準になっています。
30〜34歳:大・中企業では、年収の回復が鮮明に
(単位:万円)
①令和2年 | ②令和3年 | 前年比 | |
大企業(1,000人以上) | 677 | 749 | +62 |
中企業(100〜999人) | 530 | 583 | +52 |
小企業(10〜99人) | 465 | 446 | -19 |
(参考:厚生労働省 「賃金構造基本統計調査」)
即戦力となる30〜34歳では、コロナで令和2年は落ち込んだものの、昨年は大企業・中企業で大きく回復してきていますね。
40〜44歳:中企業で大きく増加
(単位:万円)
①令和2年 | ②令和3年 | 前年比 | |
大企業(1,000人以上) | 835 | 866 | +31 |
中企業(100〜999人) | 670 | 760 | +90 |
小企業(10〜99人) | 550 | 573 | +23 |
(参考:厚生労働省 「賃金構造基本統計調査」)
勤続20年以上になるベテラン世代である40〜44歳の年収は、昨年において、大企業・中小企業ともに回復傾向にありました。
特に中企業(100〜999人)で大きく増えており、大企業との年収格差が縮まりつつあります。
2、職種別の年収の変化
ただ、ゼネコンの平均年収だけでは、どの仕事の年収が増えているのか(減っているのか)が分かりませんよね。
「賃金構造基本統計調査」では、職種別の年収についても記載されています。ゼネコンなどの業種ごとに分かれているわけではなく、全業種を対象としたデータですが、だいたいの傾向がわかります。
職種別の年収データは、全部で140以上ありますが、ゼネコンに関係のありそうな職種のみ抜粋してみました。
(単位:万円)
職種名 | ①令和3年 | ②令和2年 | 増減(①ー②) |
土木技術者 | 566.5 | 568.2 | -1.7 |
測量技術者 | 476.1 | 463.1 | 13 |
総合事務員 | 494.3 | 493.4 | 0.9 |
建設・さく井機械運転従事者 | 474.1 | 452.2 | 21.9 |
建設躯体工事従事者 | 405.2 | 410.9 | -5.7 |
土木従事者,鉄道線路工事従事者 | 396.1 | 390.6 | 5.5 |
ダム・トンネル掘削従事者,採掘従事者 | 461 | 508.3 | -47.3 |
建設機械の運転手は、20万円以上増加していますが、ダム・トンネル工事に携わる方は、年収が1割近く減っていますね。
それ以外は、だいたい横ばいとなっており、コロナの影響があった令和2年から、それほど大きな変化はないようです。
なお、大企業の30〜34歳の年収の回復が鮮明になっていますが、
- プロジェクト管理などの、職種別のデータには現れにくい仕事をする人の年収が上がっている
- 即戦力となる人材を繋ぎ止めるために、待遇改善の動きが進んでいる
などの可能性が考えられます。
3、新型コロナ以降の業績は?
新型コロナで人の動きが止まった2020年(令和2年)、ゼネコン各社の決算は、海外の工事がストップするなどで、21社が減収(売り上げが減少)していました。
(参考:日刊建設工業新聞「主要ゼネコン27社/21年3月期決算/21社が減収、海外工事の中断など影響」)
では、具体的にどれぐらい下がっているのか?
コロナ前の令和1年(2019年度)から、昨年の令和3年(2021年度)までの営業利益(本業での儲け)について、ゼネコン各社の決算から、まとめてみました。
ゼネコン各社の営業利益の推移
*従業員数(単体)の多い順で表示
*新型コロナ前:2019年度
*新型コロナ以降:2020〜22年度予想
(単位:億円)
社名 | 19年度 | 20年度 | 21年度 | 22年度予想 | 従業員数 | 主力事業(売上の割合) |
清水建設 | 1,339 | 1,002 | 451 | 715 | 10,688 | 建設78% |
大林組 | 1,529 | 1,232 | 411 | 1,000 | 9,026 | 建設93% |
大成建設 | 1,678 | 1,305 | 961 | 970 | 8,579 | 建築64% |
鹿島 | 1,320 | 1,273 | 1,234 | 1,080 | 8,080 | 建築44% |
戸田建設 | 352 | 277 | 244 | 205 | 4,175 | 建築58% |
五洋建設 | 332 | 305 | 160 | 315 | 3,136 | 土木39% |
三井住友建設 | 248 | 156 | -75 | 160 | 2,954 | 建築52% |
西松建設 | 253 | 210 | 235 | 240 | 2,794 | 建築57% |
熊谷組 | 254 | 281 | 227 | 232 | 2,626 | 建築56% |
東急建設 | 203 | 35 | -61 | 40 | 2,624 | 建築77% |
奥村組 | 115 | 129 | 126 | 84 | 2,123 | 建築56% |
鉄建建設 | 58 | 62 | 52 | 36 | 1,823 | 土木57% |
東洋建設 | 93 | 143 | 96 | 97 | 1,314 | 土木58% |
淺沼組 | 66 | 53 | 48 | 56 | 1,273 | 建築55% |
飛島建設 | 78 | 40 | 46 | 48 | 1,180 | 土木54% |
ピーエス三菱 | 49 | 84 | 66 | 50 | 1,105 | 土木62% |
大豊建設 | 85 | 91 | 89 | 86 | 1,049 | 土木55% |
(参考:会社四季報 2022年3集)
清水建設、大林組、大成建設などの超大手ゼネコンほど、新型コロナによる影響が大きかったようです。
ただし、赤字企業は施工不良によるもので、それ以外の企業では、本業の儲けに影響があったものの、赤字転落にまで落ちるところはありませんでした。
また、来期以降の予想を見ると、大林組を除いて、昨年なみか、少し回復する見通しのところが多いようです。
この背景には、鉄筋や原油などの価格上昇によって、儲かりにくい状況が続くと見ているからでしょう。
ゼネコン業界では、過去5年間の希望退職募集はゼロ
「不景気.com」というサイトがあります。このサイトでは、新聞やHPに発表されている企業の希望退職のニュースがまとめられています。
このサイトで、過去5年間のゼネコン業界の100人以上の希望退職募集(いわゆるリストラ)を調べてみたところ、ゼロでした。
ただし、ゼネコン業界は、清水建設や鹿島、大成建設などの超大手を除いて、上場企業でも、3年後離職率が10〜20%と比較的高い業界です。
そのため、活躍できない人材が残りにくく、希望退職を行わなくても済んでいるのかもしれません。
以上のことから、従業員1,000人以上の大企業について言えば、
- 新型コロナで利益は減少しているものの、赤字の企業はほとんどなく、倒産リスクは低い
- 超大手以外は、若手世代に人気があまりなく、離職率は10〜20%と高め
- 人手不足もあって、特に30代の即戦力の年収は回復傾向にある
ということもあって、就職・転職先として有望と言えるでしょう。
4、就職・転職するなら
ゼネコン業界は、新型コロナで海外の工事がストップしたり、物価高によって利益が減っていたりと、経営環境は厳しい状況ではありますが、国や大企業がお客さんのため、仕事も比較的安定しており、社員の年収には、それほど影響がないようです。
転職するなら
ゼネコン業界は、長時間労働のブラック職場というイメージがついているため、人手不足に悩む状況が続いていました。
ですが、30代以上の大手企業を見ると、年収の回復が急ピッチで進んでおり、企業によっては条件面での改善が進んでいると考えられます。
この記事では、ゼネコンの平均年収や、職種別の平均年収をまとめましたが、今の職場の条件が低いと感じられたのであれば、転職を検討するのもアリでしょう。
【PR】転職者のデータが豊富なため、条件交渉に有利
リクルートエージェントは、非公開求人の数が10万件以上と多く、転職支援実績が豊富なため、的外れな条件交渉をせずに、企業が納得するようなスムーズな交渉をしてくれます。
コメント