水平分業と垂直統合の違いは?成功している企業の特徴

iphone11の箱裏面 気になるキーワード

この記事では、水平分業と垂直統合の違いと、それぞれが機能している業界や企業の特徴について解説していきます。

 

1、水平分業とは?

水平分業とは、「製品の核となる部分は自社で行い、それ以外の部分は他社に任せる」ビジネスモデルのことです。

特に、

  • 本社機能はアメリカや日本などの先進国
  • 部品調達や組み立ては、中国や東南アジア、東欧などの新興国

という組み合わせが多いです。

 

代表的な企業はiPhoneで有名なアップルですね。

アップルの製品には「Designed in California. Assembled in China(デザインはカリフォルニアで、組み立ては中国です)」と書かれています。

 

iphone11の箱裏面

(iPhone11の裏面の箱には、こんな感じで表記されています。)

 

デザインや商品の設計などの重要な部分はアップル本社で作りますが、実際の製品の組み立ては、人件費の安い中国に依頼した方が、製品を安く作ることができます。

そうすることで、商品価格も安くすることができますし、利益も大きくなります。新製品や新しい技術を開発するための投資にもお金を回すことができます。

 

また、特にアメリカやヨーロッパ、日本などの先進国では、労働者の権利が強く、簡単にクビにできなかったり、健康保険料などの社会保障負担も大きくなります。

それに加えて、日本やヨーロッパでは、解雇規制も厳しいので簡単に従業員をクビにすることもできません。

 

そのため、先進国の大きな大企業では、全ての機能を自前で抱える「垂直統合」型の企業が結果的に増えてしまっているのが現状です。

先進国の垂直統合型の企業の多くは、40〜50代の高収入の社員が増えてしまって、新しい技術にキャッチアップできる若い世代が育たず、しかも「国内の雇用を守るために新製品を作る」という無謀な勝負をしてしまいがちです。

 

例えば、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業に買収されたシャープは、当時からすでにどんどん値下がりしていた液晶テレビ事業を国内で製造することにこだわって、堺市で約4,000億円の投資をして大赤字を出してしまいました。

現在も、東芝やパナソニックなどの大手家電メーカーの業績が低迷していますが、水平分業へとうまく転換ができないために、いつまでも抜け出せない状況にあると言えます。

 

一方で、ベンチャー企業が新しい商品を作ることで、世の中にインパクトを残すことも可能となってきています。

 

例えば、高級トースターで有名な「バルミューダ」というメーカーがありますが、この会社は東京の武蔵野市で2003年に設立された会社で、生産は中国で行なっています。この会社も水平分業型と言えるでしょう。

バルミューダ

(参考:バルミューダ)

 

それ以外にも、昨年ぐらいから本格的に液晶テレビ事業に参入してきたアイリスオーヤマも、商品開発は日本で行い、製造は中国企業に任せる水平分業型になっています。

 

2、垂直統合とは?

水平分業が、自社の強みに集中し、それ以外の部分は外注するのに対して、垂直統合は「全て自前で行う」ビジネスモデルです。

日立や東芝、パナソニックなどの多くの日本企業が、この垂直統合型で事業を行なっています。

 

そして、これらの企業は、苦境に立たされています。

垂直統合型のメリットは、製造業において特にそうなのですが、「自社の独自技術を他社に知られずに済む」という点でした。

水平分業では、組み立てや製造を他社に外注するわけですから、そのノウハウは全て他社も知ることができてしまいます。そのため、他社との競争にさらされてしまう可能性が非常に高いですからね。

 

ところが、最近の家電を見てみるとわかりますが、部品の性能よりもソフトウェアの部分で大きく差がついています。

アップルと他の日本の携帯メーカーを比べれば、1番わかりやすいでしょう。

 

例えば、いくら日本の携帯のカメラの性能が良かったとしても、それを実際に使うソフトウェアやアプリが優れていないと、使いたくありませんよね。

日本では、このソフトウェアの部分が弱く、「モノづくり(性能)」の部分に力を入れてきたため、完全に置いていかれてしまったわけです。

 

垂直統合型が有効な産業とは?

代表的な産業なのが、トヨタ自動車などの自動車メーカーでしょう。部品を作ったり、組み立てを行う関連会社は「系列」と呼ばれており、垂直統合型と言えます。

自動車という製品は、家電やスマホなどの製品と大きく異なる点が2つあります。それは、

  • 故障がそのまま人命に直結するので、耐久性がとても重要視される(高い価格でも正当化される)
  • 性能の高さに燃費という維持コストが含まれる(安くても燃費が低ければ、結果的に高くつく)

の2点です。

 

日本の自動車メーカーは、徹底的なコスト削減を行っていることに加えて、エンジン(内燃機関)や、ハイブリッド(内燃機関と電気モーターを組み合わせて燃費を向上させる技術)などの技術に優れています。

そのため、新興国のメーカーの方が車体価格が安くても、総合的に判断すると日本車が世界的な競争で勝っているんですね。

 

3、小売や飲食業界では、垂直統合が進んでいる

製造業においては、垂直統合型と水平分業型が業種によって混在していますが、製造業以外の分野では、垂直統合型が進んでいるように見えます。

 

その代表例が、ユニクロです。

ユニクロは、もともとロードサイドに店舗を展開し、いろいろなメーカーの商品を揃えていましたが、自社で商品企画・製造・小売と全ての機能を自社でもつ「SPA(製造小売業)」と呼ばれる業態となっています。

ユニクロに限らず、ZARAやH&M、GAPなども自社で商品企画から製造・小売までを行っており、世界的なアパレルメーカーの多くが垂直統合型のビジネスモデルを採用していると言えます。

 

それ以外にも、ファミレスのサイゼリアもそうですね。

サイゼリアでは、食材の多くを自社で買い付けしたり、契約農家から直接取引を行ったりすることで、食材調達、商品企画、販売までを自前で行なっています。

取引先を極力減らすことで、コストを削減し低価格で提供できているんですね。これも1つの垂直統合型と言えます。

 

このように、垂直統合型で成功している企業は、自前で機能を抱え込むことで、商品力を高めながら、他社よりもコストを削減できるようになり、競争力を高めていると言えます。

いずれの場合にも成功している企業に共通するのは、「そのビジネスモデル(垂直統合 or 水平統合)を採用することで、他社よりも品質やコストで競争力が高くなっている」という点です。

 

4、まとめ

というわけで、水平分業型と垂直統合型のビジネスについて解説してきましたが、その会社が目指す方向性によって、どちらを選ぶのが正解なのかが変わってきます。

 

製造業の多くは、モノの質も上がってきて、人件費も安い中国・東南アジアにかなわないので、水平分業型を目指す方向にあると言えるでしょう。

一方で、小売業や飲食業などでは、自社で抱え込んだ方がコスト競争力がつくので、垂直統合型を目指す方向にあると言えます。

 

どちらがいいというわけではなく、その会社が置かれている競争条件によって、最適なバランスを探していくことが重要なのです。

 

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