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元号が令和に変わってすぐのタイミングで、トヨタ自動車の豊田社長が「もう終身雇用制を維持できない」という旨の発言をして、大きな話題となりました。
日本では、従業員を解雇するのがとても難しいので、「正社員」と「終身雇用」はセットになっているわけですが、その終身雇用を「維持できない」と発言したということは、「正社員という制度が維持できない」と言っていることと実質イコールです。
また、現在正社員として働いている方であれば、「安い給料でこき使われるだけこき使われて、全然有利な制度でもなんでもない」と感じている方もいるでしょう。
というのも、業界や個々の企業によって、「正社員」に対する捉え方が全く違うからです。
そこで、この記事では、
- 正社員の置かれている環境やこれまで起こってきたこと
- なぜ正社員がこれほど大変になっているのか?
- これから正社員として報われる業界・職業は何か?
の3点について解説していきたいと思います。
これから正社員になるために、就活をしようと思っている人、すでに入りたい業界が決まっている人、の参考になるはずです。
1、今、正社員に起こっていること
若い世代ほど、非正規で働く人が増えている
正社員になれば、
- ボーナスや福利厚生が充実している
- 解雇されにくく、ずっと雇ってもらえる
- 昇給制度があるので、頑張れば頑張るほど給料が上がる
といった期待が持てるので、「正社員として就職したい」と思いますよね。
ですが、過去35年ほどの正社員の比率を調べてみると、一貫して低下している傾向にあります。
特にこの数年は人手不足と言われていますが、それでも正社員の比率は横ばいなのです。
1980年代は、景気が良かったため、企業でも正社員をたくさん抱え込む余裕がありました。ですが、90年代に入っていくと、どんどん景気が悪くなってきました。
しかも、社員数の多い団塊の世代は、その頃には40〜50代に突入しており、会社の中でもお荷物社員が増えていました。
40を過ぎると若い頃と違って体力も衰えてきますし、若い人向けの商品を開発したり、海外で新規事業を行うなどのガッツもなくなってきます。
企業の本音で言えば、この頃から人件費の高い40〜50代の社員の首を切りたかったところですが、日本の解雇規制はとても厳しいため、簡単に首を切ることができません。
そのため、年齢別に詳しく見てみると、15〜25歳の正社員率(学生除く)が極端に大きく下落しています。
この数年では急激に回復しているものの、ようやくそれより上の世代と同程度になっただけであり、決して劇的に雇用環境が改善しているわけではありません。
40〜50代の削減も進んでいる
その一方で、一流の企業でも、40〜50代を対象にあの手この手を使って、人件費の削減を進めています。
具体的には、大きく3つの方法がとられるようになっています。
- 割増退職金をつけて希望退職者を募集
- 「追い出し部屋」を作って、自己都合での退職を促す
- 関連会社への出向で人件費を削減
の3つです。
(1)割増退職金をつけて希望退職者を募集
少し多めの退職金を払うことで、退職してもらう方法です。
募集期間が3ヶ月以内であれば、失業保険も退職後すぐにもらえるため、応募者にとってみれば利用しやすい制度と言えます。
2013年以降で100人以上の応募のあった企業を調べてみたところ、ここ数年はアベノミクス効果もあってか、減少傾向にあります。
また、1年間に1,000人以上の希望退職を行なった企業は以下の通りです。電機や通信・半導体など、海外展開で負けてしまった企業で大量に募集していることがわかりますね。
時期 | 企業名 | 応募者数 | 業種 |
2013年 | 富士通 | 2,454 | 通信・IT |
2013年 | ルネサス エレクトロニクス | 2,316 | 半導体 |
2013年 | 日立電線 | 1,112 | 電線・ケーブル |
2014年 | ルネサス エレクトロニクス | 1,725 | 半導体 |
2014年 | 日立化成 | 1,248 | 化学 |
2014年 | 東京電力 | 1,151 | 電力 |
2015年 | シャープ | 3,234 | 電機 |
2015年 | JT | 1,754 | たばこ |
2015年 | 横河電機 | 1,105 | 制御機器 |
2016年 | 東芝 | 3,449 | 電機 |
2017年 | ニコン | 1,143 | カメラ |
2018年 | NEC | 2,170 | 通信・IT |
(2)「追い出し部屋」を設けて、退職を促す
ただし、希望退職による募集は、強制で辞めさせることはできませんので、会社の計画よりも集まらない可能性もあります。
また、対象となる方は40代以上の場合が大半なので、社外でもやっていける自信のない方ほど手を挙げずに残る傾向にあります。
その場合には、いわゆる「追い出し部屋」と呼ばれる部署を作って、社員のやりがいを失わせ、退職へと促す方法が使われたりします。
追い出し部屋(おいだしべや)とは、日本の企業や団体の職場において、従業員・職員を「自己都合退職」(または懲戒解雇)に追い込み、「会社都合」で退職させないため配属させる部署。
ここでは実名での紹介は控えますが、「えっ?あの会社が?」と思うような一流企業でもやっています。
自己都合退職へ追い込む方法のため、かなり悪質な嫌がらせが行われるので、裁判沙汰になりニュースや記事になっているものも多くあります。
(3)関連会社への出向・天下りで人件費を削減
例えば、同期が100人入社したとしても、役員や部長などのポストに就ける人はごく一部ですし、その後に入ってきている社員もいるわけですので、余った人はどこかに行ってもらわなければいけません。
大企業では、これまでたくさんの関連会社を作って、本社では仕事がなくなった人たちをそこへ出向(天下り)させることで、雇用を維持してきました。
また、銀行ではお金を貸しているという強みを生かして、貸出先の会社に経理部長や役員として受け入れさせてきました。
ですが、そのようなことができる会社だけではありません。
例えば、損害保険会社は、これから自動運転技術が進むことで、車を持つ人が減ることが予想されるので、自動車保険の収入が激減します。
そのため、今年に入って損保ジャパンが、余っている従業員を介護事業の関連会社へ出向させると発表しました。
(参考:損保ジャパン4000人削減「介護へ転属」の深層と、この社会のバグ)
- 介護事業の人手不足を解消できる
- 人件費、机などの事務用品費、仕事場としての家賃などを削減できる
- (あわよくば)介護を嫌がる人に対して、割増退職金を払わずに自己都合で退職させられる
というわけで、「ここまでやるのか、、、」と衝撃が広がっています。
このように、解雇規制が厳しい日本では、大企業といえども、なりふり構わない方法で40代以上の戦力外となった社員を自己都合退職へと追い込もうとしているのが現状です。
2、なぜ正社員をめぐる環境がこれほど厳しくなっているのか?
つまり、正社員をめぐる環境は、
- 若い世代は、正社員になりにくく、しかも安い給料でボロボロになるまで働かされる
- 用済みになってしまった40〜50代は、希望退職や追い出し部屋などで、退職へと追い込まれている
という状況なのです。
では、なぜこれほどに正社員をめぐる環境が厳しくなっているのでしょうか?
その理由は、
- モノやサービスの価格が下がっている
- 商品の開発コストが上がっている
- 新しい産業が生まれておらず、転職という選択肢があまりにない
の3点です。
(1)モノやサービスの価格が下がっている
この20年ぐらいの間だけで見ても、かなりのモノやサービスの値段が下がっています。
例えば、パソコンや液晶テレビ、メガネなど、以前ならば結構高かった商品も、最近ではかなり安く手に入るようになりました。
特にモノの値段については、人件費の安い中国や東南アジアで製造して、日本で販売する商売が増えていますよね。
そうすると、日本で雇われた人たちがやることといえば、
- 商品の企画・開発(付加価値が高い仕事)
- お店やネットで販売する仕事(誰でもできるマニュアル化された仕事)
の2つに大きく分かれていきます。
マニュアル化された仕事は、他の人でも代わりにできますので、その仕事を続けたいと思う人は、安い給料でも我慢せざるを得なくなっているんですね。
(2)商品の開発コストが上がっている
ゲームや映画などのエンターテイメントの分野でそうなのですが、1つの作品を作るコストがどんどん上がっています。
例えば、プレイステーション4のソフトを作ろうと思うと、数億〜数十億円単位の費用がかかります。ファイナルファンタジーなどのビッグタイトルならば、100億円以上かかると言われています。
その一方で、ゲームソフトや映画料金は簡単に上げられませんので、どこかの費用を削ったり、抑えたりしなければいけません。
そこで狙われるのが人件費なんですね。
(3)転職の選択肢があまりない
日本では新卒で正社員として採用されると、いろいろな部署に異動になります。営業で入社しても、企画や事務に回されたりと、いろいろ経験する会社が多いです。
ところが、転職市場では、「これができます!」という即戦力的な能力が求められます。そのため、人によっては転職でアピールできるキャリアを積めていないことの方が多く、「今の場所で働き続けた方が給料的にマシ」ということが起こってしますのです。
また、先ほどご紹介したように、かつては世界を席巻していたような半導体・鉄鋼・電機といった産業が海外の企業との競争で負けてしまい、これらの業界の仕事が減っています。
また、飲食店や床屋などの日常使いのサービスの価格は大きく下がっているため、こういった仕事で自営業をやるのも大変です。
その一方で、新しく生まれた仕事は、IT業界や介護業界ぐらいしかありません。
ブラック企業がなかなかなくならないのも、「今の会社を辞めても、他に行くところがない」と感じてしまうからなんですね。
3、これから有望な業界・職種は何か?
そうは言っても、全ての業界が人件費削減の波にさらされているわけではありませんし、全ての会社がブラックなわけでもありません。
そこで、ここからは当面大丈夫そうな会社・職種についてご紹介します。
今後も安定して働ける会社
①総合商社
総合商社は、ここ数年は過去最高益を更新しており、絶好調の業種です。総合商社が有望な理由として、
- パソコンや携帯電話などの最終製品を作る業界と違って、原材料を世界中から開発・調達・販売する事業なため、価格リスクはあるものの他社との競合リスクは小さい
- 参入している分野が鉄鉱石、石油、天然ガス、太陽光発電、コンビニ、M&Aなどの多岐にわたるため、1つの業界がヤバくなっても他の商売でカバーしやすい
- 人口が減少する一方の日本ではなく、世界中を相手に商売を開拓しているため、マーケットが大きい。特に新興国の経済成長が追い風となっている
- 人材ありきのビジネスのため、安い給料で使い捨てされない。大企業の看板を背負ってチームでビジネスをするため、経験が増えるほど活躍するチャンスが広がる
と言ったことが挙げられます。
実際、総合商社の平均給与を見ると、軒並み1,000万円以上とかなりの好待遇となっています。
(参考:各社HPより)
特に5大商社は、2000年前後にリストラをして以降、この20年ぐらいはリストラを行なっていません。
他業種では全社的な業績は良くても、不採算部門が出るとリストラをするケースがありますが、そのようなこともないため、よほど業績の悪化がなければ、リストラが起こる可能性も低いでしょう。
就職人気ランキングでも上位の常連企業ばかりなので、採用される難易度は高いですが、チャレンジしてみる価値はある業界です。
②株式未公開企業
日本の大企業は、その多くが外国人投資家に株式を保有されています。
そのような企業は、株主からのプレッシャーが厳しく、短期的にも利益を極限まで追求する傾向にあります。その際に、人件費の削減もされる可能性が高いんですね。
その点、株式市場に公開していない企業であれば、株主からのプレッシャーもないため、長期的な視野に立って経営を行うことができます。
例えば、
- サントリー
- 竹中工務店
- YKK
- 小学館
- ミツカン
- カルピス
- 森ビル
などがそうですね。
今後有望な職種
大企業は人気が高く、競争倍率も高いため、全ての人が入社できるわけではありません。
そのため、もし大手企業が難しいのであれば、職業的なスキルを身につけることを目的に、ベンチャーや中小企業への就職を考えるのもアリでしょう。
また、リストラの多い業界であっても、職業的なスキルを身につけて転職市場で戦える職業もあります。
そのような職種について、いくつかご紹介します。
①IFA(独立ファイナンシャル・アドバイザー)
特に証券会社に入社した場合には、1度は考えてみるべきキャリアと言えます。
証券会社の仕事は、新規開拓でお客さんを作って、そのお客さんからお金を預かり、株や債券・投信などの提案を通じて、手数料として対価を得る仕事です。
お客さんから信頼されて、何百万〜何億円というお金を預かるわけですから、新規開拓はとても大変です。
しかし、1度信頼を勝ち取れば、末長く取引してもらえますし、お客さんを紹介してもらえることもあるので、うまく流れに乗ると、その後はとても楽になる仕事なはずなのです。
実際、アメリカでは、このIFAという職業についているアドバイザーがたくさんいますし、このようなアドバイザーのために、お客さんの口座管理や商品提供を行なっている証券会社がたくさんあります。
ところが野村證券などの証券会社では、せっかく新規開拓をしてお客さんになってもらっても、数年経つと転勤して他の支店へと異動させられてしまいます。
また、数字のノルマがきついため、売りたくない商品の販売もしなければいけない、というストレスを抱えて辞めてしまう人もたくさんいます。
その点、IFAになれば、このようなストレスもなく、末長くお客さんと付き合えますし、手数料の何割かが自分の収入になるため、頑張れば頑張るほど収入も増え続けます。
また、ムリなノルマを課せられることもないので、新規開拓のスキルを身につければ、どこでも戦えるのが魅力といえます。
②WEBマーケティング
WEB業界といえば、ベンチャー企業も多く、ブラック企業というイメージが強いかもしれませんが、将来的にはかなり有望な業界です。
具体的には、SEOと呼ばれる分野ですね。この記事にも検索でたどり着いたと思いますが、サイトを作ってお客さんを集客するスキルのことを指します。
なぜ、このスキルがこれから有望なのかというと、このような方法できちんと集客できている会社が世の中にはまだまだ少ないからです。
もちろん、ホームページやブログを持っている会社やお店はたくさんあります。
ですが、そのページからきちんと集客できている会社は、おそらくあまりありません。というのも、お客さんが行きたいと思えるような文章・記事を書いていないからです。
わたしは別のサイトも運営しているのですが、そのサイトでお客さんにサービスを利用してもらうまでに、50回以上も同じ記事を書き直しました。
もちろんわたしの腕が未熟だったこともあるでしょう。ですが、おそらく、その会社のスタッフが作ったホームページやブログも、同じような状況なはずです。
そのようなスキルをWEBマーケティングの会社で学ぶことができます。
このスキルをマスターすれば、自分でアフィリエイトサイトを作って副業を収益化することも可能ですし、他の会社のコンサルを行うことも可能になるでしょう。
古い会社ほど、インターネットによる集客は弱いことが多いため、まだまだ開拓の余地はありますし、お客さんの売り上げを伸ばすことができれば、高い報酬を請求しても文句を言われることもありません。
ただし、扱っている商品によっては詐欺っぽいものもあります。そういう会社はブラックな会社である可能性が高いので、取り扱っている商品やサービスの内容も企業選びの基準として重要なポイントとなるでしょう。
まとめ
というわけで、まとめると以下のようになります。
- 人件費の安い海外製品との競争によって、それまで高い給料をもらえていた会社の経営がおかしくなってしまい、希望退職や追い出し部屋を通じて人件費を削減しようとしている
- 正社員として働ける場所が少なくなっているため、正社員という待遇をチラつかせて劣悪な条件で働かせようとするブラック企業が増えている
- そのため、これから正社員を目指すのであれば、有望な業界・ホワイト企業からの内定をもらうか、独立・転職できるスキルのある業界を目指した方が、10年〜20年という長い目で見た場合に、キャリアが無駄にならずに済む
となります。
これから就職・転職活動を考える際の参考になれば幸いです。
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